使用楽器
Marimba C28-C76 (4oct.)

この曲は、マリンバ奏者・大澤千紘さんから「スパイダーマンをイメージして作曲して欲しい」と依頼を受けて作曲したマリンバ独奏曲で、2013年1月12日に同氏によって初演されました。
蜘蛛の巣には獲物を捕らえるために粘性のある横糸と、自分が巣の上を移動するための縦糸があります。そこで演奏者の右手を横糸(捕らえられて変化しない)、左手を縦糸(獲物を狙って動く)として、手の動きを先に決めて曲を書きました。楽曲はメロディックな旋律を持たず和音変化を中心に書かれています。そうしてスパイダーマン(共演者＆主旋律)の登場を待ち焦がれるのですが、彼は最後まで登場せず、演奏者はささやかな旋律を独奏して悲しげに曲を閉じます。
結局、曲を書き終えた今でも僕はスパイダーマンを観ていないので良く分からないのですが、スパイダーマンを愛して止まないことやスパイダーマンの登場を信じて待ち焦がれることって、そこに彼はいないけれど既に彼の巣に捕らえられているような気がしていて、だからこそ彼は僕らのもとへやって来ないのではないかという気もしています。
彼が来なくともあなたはいます。彼でなくあなたがお客様を音のSpider webで捉えて欲しいと思います。

2014年2月 渡邉達弘
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